2010年02月25日

スフィンクス

 萩尾望都原画展でおもわず購入。この表紙の原画もきれいでした〜!ただし、表紙はコミック用に左右逆版で印刷されています。






 表題作とオイディプスは、ギリシア悲劇のオイディプスから。生方さんシリーズも数編。

 ギリシャ神話(昔は「ギリシャ」でした)は子供の頃から好きでしたが、大学で「イーリアス」を読んで以来、ますます好きになりました。「オイディプス」は、ずいぶん前に、蜷川幸雄の舞台を見たことがあります。この漫画を読んでまた読み返したけど、ギリシア悲劇ってすごいですよね〜。登場する人間が我々よりずっと濃い感じがします。日本語訳は、読みやすく物語形式になっているものが多いのですが、台詞とコロスの歌詞の形式で読んでも感情移入できます。収録作品の中でも、ギリシアもの2本は、生方シリーズに比べてドラマチックな描写で、ギリシア悲劇の雰囲気をよく出していると思います。

 生方先生シリーズは表情も日本人らしく抑えめで、ギリシアものとの差別化は成功しているんですけど…なんだろう?絵が上手すぎる?いい話なのに、イマイチ情緒的じゃないというか。

 なんですかねぇ?萩尾望都の絵はきれいで丁寧で好きだったはずなのに、もうちょっとあっさりした絵が欲しいと思っちゃったりするのは。生方先生のキャラクターがよくわからないので、シリーズになっていること自体に違和感を感じるのかも。

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posted by とーこ at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 萩尾望都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月28日

山へ行く

 「萩尾望都原画展」に行って、手元に残した1冊。





 萩尾望都の作品はほとんど読んでいて、かなり持っていますが、ファンというほどでもないかも。「ポーの一族」とか「アメリカン・パイ」、「半神」、「エッグスタンド」、「メッシュ」など、どちらかというと重い話の方が好きで、萩尾さんのコメディーはテンポが私とは合わないような気がしていました。そのそわそわとしたテンポがバレエのテンポとあっていた「フラワーフェスティバル」は好きですけど。
 重い話も、「残酷な神が支配する」は、最後まで読みましたが、さすがにあまりにもつらい話で疲れました。「バルバラ異界」も、後味が悪く、全部買って読んだあげく、人に譲りました。

 おおざっぱに言って、最近の萩尾作品はどうも…という感じでした。「山へ行く」もそう。生方さんが出てくる表題作を含むシリーズも、登場人物の台詞が多く、何となく合わない。たぶん動画でない平面のコマ割としては、台詞が饒舌すぎるんだと思います。生方さんシリーズの間あいだに、「メッセージ」など、生方さんとは関係ない話がいくつか収録されていますが、オムニバス映画のようで、効果的。…ああ、そうか、台詞が多いと思ったけど、萩尾さんは映画みたいな感じで作りたかったのかもね。

 単行本の最後に収録されているのが「柳の木」で、この原画を見ちゃったもんだから手放したくなくなっちゃった。
posted by とーこ at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 萩尾望都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ころばぬ魔法の杖

 名香智子!なつかし〜と、思わず買った1冊。





 名香智子は、「花の美女姫」の頃から知っていますが、ファンというほどではなく、単行本を買ったこともありませんでした。「花の美女姫」は別冊少女フレンドに連載していたのだと思いますが、別フレも自腹で買っていたわけではなく、高校の漫研部室に資料(?)として置いてあったもの。発育不全に近い「鹿の子」という少女の親代わりを、日仏ハーフの美形のいとこ(男)が父母代わりに育て溺愛する…というめちゃめちゃな漫画だったと思いますが、ぜったい現実にはあり得ないシチュエーションがおもしろかったです。名香智子の漫画は絵がきれい、特に背景の建物やインテリアがすばらしく、「資料」としてかえずがえす見直しました。ああは書けませんけど。


 この単行本に収録されているのは、「ころばぬ魔法の杖」3編と「山茶花の垣」。ともにお金がなくて苦労している女性がシアワセになるというシンデレラ・ストーリーですが、「苦労」の描き方が軽やか。別々の話なのに、なぜか主人公ふたりの髪型が同じ。前髪を持ち上げるワンレンおかっぱは、薄幸の美女スタイルなんでしょうか…。

 やっぱり豪華なお屋敷や家具、ミシャやビアズレーのデザインのような背景が美しく、きれいな絵でした。

 表紙の絵をつくづく見ていたら、内藤ルネの絵を思い出しちゃいました。昔はそんなこと少しも思ったことなかったけど。内藤ルネの絵も名香智子の絵も、そこらの庶民を少女の夢の世界へ連れて行ってくれます。ハーレクインロマンス調のレディース・コミックスとはちょっと違って、軽やかでドロドロしないところがお上品。

 
posted by とーこ at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 名香智子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月26日

へうげもの 10服

 利休の死後の新たな世界。服喪カラーの9巻から、10巻はいっきに華やかな朱色(紅ジャケ色?)になりました。




 9巻までの凄まじいまでの緊張感は影を潜め、織部も高田純次のよう。文化も新陳代謝して、それが流行というものなんですかね〜。古い時代の権威は、利休のようにこの世から消えていくか、秀吉のように衰退を見せることによって消えていくか。最盛期に消える利休はかっこいいけど、秀吉やストーンズが、衰える姿をさらしながら茨の道を行くのもかっこいい。10巻では、5巻で南蛮趣味の心意気を見せたハンサムな高山右近も、老けメーク(っていわないか)で登場します。

 秀吉や右近、織部は、なぜそうも苦しい道を行くのか。

 それはまだ自分のやりたいことを完成させていないから。

 長生きすれば自分の理想はかなうのか。

 少なくても今の段階よりは進んでいることを想像できなければ、生きることができないかもしれません。

 「己がわび」を見出し、老成しつつあるレギュラー陣の前に、10巻ではフレッシュな登場人物が出てきました。朝鮮の窯元の英子(ヨンジャ)と、岩佐又兵衛、それと8巻から登場してきた「おくに」もレギュラー入りしそう。

 このあと関ヶ原の合戦、冬の陣、夏の陣とまだまだ見せ所が残っています。

 「人生は過酷なものぞ。さような人生への最大の復讐は笑ろうて暮らす事とは思わぬか?」

 復讐とは思わなんだが、笑うて暮らしていきたいと思いまする。
ラベル:へうげもの
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2009年12月02日

大奥第5巻

 犬公方綱吉の巻。





 いつの世も王様の最大の仕事は子孫を残すこと。ヘンリー8世、ハプスブルグ家、それから日本の皇室も、お家継続のために必死です。名家じゃない我が家も、子供がいないのであちこちからさんざん言われました。インドでは頼んでもいないのに子宝祈願の寺参りにさんざん連れて行かれたし、「子供は何人?」と聞かれ、うっかり「いない」なんて答えちゃったために、タクシーの運転手にまで寺やら病院やら紹介されそうになっちゃいました。恋愛とか性欲とか、子孫繁栄の前には甘っちょろい話なんですかね。

 跡継ぎがいるからこそお忍び訪問なども気ままにしていた綱吉ですが、大切な一人娘を失ってしまいます。そもそもお忍び訪問だって、子を産むという仕事をするために自分を奮い立たせるためなのだから、味気ない。中世のヨーロッパでは新婚初夜の床入りも監視のいる中で行われたし、実質的な婚姻が確かに行われたか確認する手続きはラストエンペラーの時代にもまだ残っていたというから、君主の生活にデリカシーなんかありゃしない。


 5巻では私の好きな忠臣蔵のエピソードも登場します。(う〜む、そう来たか!)とうなっちゃいましたよ。
ラベル:大奥
posted by とーこ at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | よしながふみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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